「微笑ましい関係になるはずが…」老犬と子犬を一緒に育てるときに知っておくべき“現実”と接し方

  • 2025年6月1日
  • 2025年8月24日
  • 老犬
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「うちの老犬、昔は優しかったのに…」多頭飼いに戸惑う声が増えています

長年連れ添った愛犬がシニア期に入り、もう1頭新しい家族として子犬を迎える——。
そんなご家庭は年々増えています。「老犬の元気の源になるかな?」「子犬が来れば、家族全体が明るくなるかも」と、愛情あふれる決断です。

しかし、現実はそう簡単ではありません。

「子犬が老犬にじゃれついてばかりで、老犬が疲れてしまう」
「老犬が唸ったり怒ったりして、子犬が怖がる」
「なんだか老犬の表情が曇ってしまった気がする…」

これは決して珍しい話ではありません。
15年以上の現場経験を持つドッグトレーナーの立場から言うと、老犬と子犬の共存には、丁寧な準備と慎重な配慮が必要不可欠です。

本コラムでは、老犬と子犬が互いに負担なく暮らしていけるよう、具体的なステップや注意点をお伝えします。

老犬と子犬、性格もペースもまるで違うのが普通

まず理解しておくべきは、「老犬」と「子犬」では、エネルギー量も、感情の起伏も、求めるものもまったく異なるという点です。

老犬は、静かに落ち着いた時間を好みます。
音や動きに敏感になる傾向もあり、突然の接触や騒がしさにはストレスを感じやすくなります。

一方の子犬は、好奇心の塊。
とにかく遊びたい、かまってほしい。動くものは全部「遊び相手」になってしまいがちです。老犬のしっぽや耳も“おもちゃ”にされてしまうことも。

このテンションの差こそが、最初の壁になります。

共存の第一歩は「分けること」から始まる

最初から同じ空間に放して自由にさせると、老犬にとって大きな負担になることがあります。
「先住犬だから優先して」「子犬は社会化が大事だから」と、どちらかに偏った対応をしてしまうと、逆効果になるケースも。

まずは物理的にスペースを分け、以下のような段階を経て慣らしていきましょう。

  • お互いの匂いだけを嗅げる環境を整える(ケージ越しに)

  • 飼い主の膝の上や腕の中で安心しながら対面させる

  • 一緒の空間で過ごす時間は短く、無理をさせない

  • 子犬が興奮してきたら、すぐに距離をとる

特に重要なのは、老犬の“逃げ場”をつくることです。
毛布のある静かな場所、クレートの中など「ここにいれば安心」と感じられる空間を確保してあげてください。

老犬が唸る・怒る=しつけ失敗ではない

老犬が子犬に唸る、歯を見せる、軽く鼻先で押し返す。
一見「ケンカしてる!」と感じてしまうかもしれませんが、これらは犬同士のコミュニケーションの一種です。

老犬が「これ以上くるな」「今は休みたい」と子犬に伝えているだけで、攻撃とは限りません。

このとき飼い主が慌てて「だめでしょ!怒らないで!」と老犬を叱ってしまうと、老犬は自分の気持ちを表現できなくなり、結果的にストレスを抱えてしまいます。

逆に、子犬がしつこくしすぎて老犬が逃げる場面では、飼い主が間に入って「今はやめようね」と止めることも大切。
お互いの意思表示を尊重しつつ、安全な距離感を保つのが最初の数ヶ月のポイントです。

子犬の社会性も、老犬の尊厳も守る“関わり方”

子犬は、犬同士の関係性の中で「遊びのルール」や「加減」「タイミング」を学んでいきます。老犬は、子犬にとって最高の“先生”になる存在でもあります。

でも、老犬に全責任を負わせてしまっては、関係は崩れてしまいます。

おすすめの関わり方としては、

  • 子犬だけとの個別トレーニングや遊びの時間を設ける

  • 老犬との時間も「特別なひととき」として確保する

  • 子犬が良い振る舞いをしたときはすぐ褒める

  • 老犬が落ち着いて子犬を受け入れた瞬間も必ずねぎらう

このように、それぞれの年齢と役割に合った接し方をしていくことで、自然とお互いを認め合える関係が育っていきます。

「仲良くなれないかも…」と不安になったときこそ、立ち止まっていい

新しい子犬を迎えて数週間、あるいは数ヶ月経っても、老犬がまだよそよそしい、逆にイライラしているように感じることはあります。

そんなときに大事なのは、「仲良くならなきゃ」と急がないこと。
犬たちにもそれぞれのペースがあります。特に老犬にとっては環境の変化は大きな負担。若い頃とは反応も違って当然です。

焦らず、比べず、見守ること。

そして、多頭飼いは“人間側のチームワーク”も大切です。家族で「老犬を気遣う係」「子犬と遊ぶ係」など役割分担をしながら、それぞれのケアに目を向けていきましょう。

老犬と子犬が“それぞれの幸せ”を見つけられる関係を

多頭飼いにおける「理想的な関係」とは、常にくっついて仲良くしている姿ではありません。

同じ家の中で、互いの存在を尊重しながら、それぞれの時間を持ち、安心して過ごせること。
ときに寄り添い、ときに距離をとりながら、無理なく、自然な形で家族として成長していく。それこそが本当の意味での「良い関係」だと私は考えています。

その道のりは、少しずつでかまいません。
ほんの一歩でも、お互いが近づけたとき、そこには何より温かな絆が育ち始めています。


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