家の中で飛び交う「ダメ!」…でも犬にはどう届いてる?
犬がいたずらしたとき、うっかり部屋の中で排泄してしまったとき、つい「ダメ!」「こら!」と声を荒げてしまった経験、ありますよね。特に子どもが一緒にいると、犬の行動に敏感になりがちですし、「ちゃんとしつけなきゃ」という焦りが強く出てしまうもの。
けれど、その叱り方、本当に犬にとって“伝わって”いますか?
犬のしつけにおいて、正しい叱り方はとても重要です。強く叱りすぎれば恐怖心を与え、逆に全く効果がなければ、悪い行動がエスカレートすることもあります。そして何より、子どもがその叱り方を真似てしまうことも大きな問題です。
このコラムでは、15年以上のドッグトレーナー経験を活かし、「子どもと一緒に育てる家庭犬」にぴったりの叱り方のコツを丁寧にお伝えしていきます。
叱ることは「怒ること」ではない
「叱る=怒鳴る」と思っていませんか?
実は、犬にとって“人の大きな声”はただの「うるさい音」にしか感じられず、何を間違えたのかまでは理解できていません。
叱るとは本来、「その行動はしてはいけない」と冷静に伝えることです。
そしてそれは、できるだけ短い言葉で、タイミングを逃さず伝えることがカギになります。
なぜ叱るのかを、家族で共有しよう
例えばこんな場面、思い当たりませんか?
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ママは「犬が吠えたら無視して」と言っているのに、子どもがつい「ダメ!」と反応してしまう
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パパは「飛びつきがダメ」と叱っているのに、子どもは「元気でいいね」と笑っている
このように、家族の中で犬に対するルールや対応がバラバラだと、犬は混乱し、「これはやっていいの?ダメなの?」と正しく学べなくなります。
まずは「なぜ叱るのか」「どんなときに叱るのか」を家族全員で共有することが第一歩です。特に子どもにもわかりやすい言葉で、「これは危ないからダメだよ」「びっくりするからやめようね」と説明しながら、大人が一貫した態度で示していきましょう。
効果的な叱り方の3つのポイント
1. タイミングは“その瞬間”に
犬は「数秒前のこと」は理解できません。
何か悪いことをした“その瞬間”に、「いけない」と伝えることが最も大切です。時間が経ってから叱っても、「なぜ叱られているのか」犬はわからず、不安だけが残ります。
2. 短く、低く、落ち着いて
「ダメ!」「イケナイ!」など、短くて同じ言葉を使いましょう。声のトーンはやや低めで、落ち着いた口調で伝えることが効果的です。大声で怒鳴ってしまうと、犬は「怖い」「不安」と感じてしまい、関係が悪化することも。
3. 感情で怒らず、ルールとして伝える
子育てと同じで、犬にも“叱る=教える”という意識が必要です。「またやったの!?」と感情的に怒るのではなく、「それはしてはいけないよ」という態度を冷静に伝えることが信頼関係につながります。
子どもが叱るときの注意点とポイント
子どもにも、犬としっかり向き合ってほしい。でも、子どもが感情的に怒ったり、逆にふざけて反応してしまうと、犬にとっては「遊び」と認識されてしまいます。
ポイントは、「叱る役割」は基本的に大人が担うこと。
ただし、子どもも一緒にルールを理解して、犬の気持ちを尊重する姿勢を育てることは大事です。
たとえば、子どもには次のような行動を教えましょう。
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犬がいたずらしたときは、「ママ呼んでくるね」と報告する
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甘噛みされたときは、「痛い!」と一言だけ言って距離をとる
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犬がいい子にしていたら、「えらいね」と優しく声をかける
こうした関わり方を通じて、子ども自身が犬の気持ちや行動を観察する力を養うこともできます。
「叱る」だけじゃない、ほめることの大切さ
叱り方のコツを覚えると、つい「ダメなこと」を直すことに意識が向きがちですが、実はもっと大切なのは、「正しい行動を褒める」ことです。
例えば、飛びつこうとしたけど座って我慢できた、インターホンが鳴っても吠えずに待てた、そんな“よい行動”を見つけたときにすかさず褒めてあげることで、犬は「こうすればいいんだ!」と自信を持って行動するようになります。
子どもと一緒に「いい子だったね」と声をかける時間は、家族と犬の絆を深める宝物になります。
家族全体で「伝わる叱り方」を育てよう
犬にとって、飼い主さんの声や態度は毎日の道しるべです。
しつけにおいて“叱ること”は避けて通れませんが、その伝え方ひとつで、犬との関係性は大きく変わります。
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一貫したルールを家族で共有すること
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タイミングよく、短く、冷静に伝えること
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子どもにも理解できる言葉で、犬と向き合う習慣をつけること
忙しい日々の中でも、こうした積み重ねが「言葉の通じる関係」を育ててくれます。
子どもが犬の気持ちを読み取り、犬が子どもに安心して寄り添える――そんな関係を、家庭全体で作っていきましょう。