おすわり、なぜできない?「シンプルなしつけ」の意外な落とし穴
「おすわりくらい簡単でしょ」「うちの子は頭が悪いのかな…」
そんなふうに思ってしまったこと、ありませんか?
実は、「おすわり」は犬のしつけの中でも最も基本的でありながら、最初の“つまずきポイント”でもあります。特に初めて犬を飼うご家庭や、小さなお子さんが一緒に関わっているご家庭では、「どう教えたらいいの?」「一貫して教えられない…」と悩むことも多いのが現実です。
ですが安心してください。おすわりは正しい順序と伝え方をすれば、ほぼすべての犬ができるようになります。
今回は、15年以上ドッグトレーナーとして家庭犬のしつけに携わってきた視点から、「おすわりを自然に覚えさせる方法」と「子どもと一緒にしつけを進めるコツ」をご紹介します。
おすわりを教える意味――“かわいい芸”じゃなく“生活の基本”
「おすわり」は単なる芸ではなく、犬にとっての大切な生活マナーです。
例えば、
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興奮しているときに気持ちを落ち着ける
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飼い主の目を見て指示を待つ
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おやつやごはんの前に落ち着いて待つ
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来客時に飛びつかず、座って待つ
など、さまざまなシーンで活用されます。
「おすわり」ができることで、犬の行動は落ち着き、家族全員との暮らしがよりスムーズになります。
だからこそ、最初に覚えてほしいしつけとして「おすわり」が選ばれるのです。
初めてでもできる!“成功率の高い”おすわりの教え方
準備するものは、たった2つだけ
まずは次のものを用意しましょう。
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ごほうび(フードでもOK。犬が喜ぶものを)
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静かで集中できる場所(テレビや人の出入りが少ない場所)
犬が集中できる環境をつくることで、学習のスピードもアップします。
おすわりの基本ステップ
以下のステップを、焦らずゆっくり繰り返しましょう。
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犬の鼻先にごほうびを持ち、ゆっくり頭の後ろに動かす
犬はごほうびを追いかけるように顔を上げ、自然と腰を落としていきます。 -
お尻が地面についた瞬間に、「おすわり!」と声をかける
このタイミングが重要。動作と指示を関連づけることで、言葉を理解します。 -
すぐにごほうびをあげて、しっかり褒める
声のトーンも大切です。嬉しそうに「いい子!」と伝えてあげましょう。 -
この流れを1日5回、数セット行う
無理に連続して行わず、犬の集中力が持続する範囲で行います。
数日間続けると、「おすわり」の声だけでも腰を下ろすようになります。ここで大切なのは、焦らないことと、一貫性をもって伝えること。
よくあるつまずきとその対処法
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すぐ立ち上がってしまう場合:成功の瞬間に即座にごほうびを与え、タイミングを逃さないように。
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座らず立ったまま見つめてくる場合:手の誘導が浅すぎるか、犬が戸惑っている可能性。頭の後ろまでしっかり手を動かしましょう。
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飽きて反応しない場合:トレーニング時間が長すぎるか、直前に遊びすぎているかも。犬の集中できるタイミングを見極めましょう。
家族みんなで教えるには?――“協力型しつけ”のすすめ
「ママの時はできるのに、パパの言うことは聞かない」
こうしたこともよくありますよね。原因は“教え方やルールがバラバラ”なこと。
家族で協力しておすわりを教える場合は、以下のポイントを押さえておきましょう。
指示語を統一する
「すわれ」「おすわり」「シット」など、人によって言い方が変わると犬は混乱します。
必ず家族で同じ言葉・トーンで統一しましょう。
タイミングとごほうびも統一
誰が教える場合でも「座った瞬間に褒める・ごほうびをあげる」タイミングを守ることが成功のカギです。
子どもにも、「座ったらすぐに“いい子!”って言ってあげてね」と教えるとよいでしょう。
子どもが教えるときのコツと注意点
おすわりのしつけは、お子さんにもできる貴重な“犬との信頼関係を育む体験”になります。
ただし、犬にとって子どもはまだ「遊び相手」であり、「トレーナー」ではありません。ですので、以下の工夫を取り入れてください。
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お子さんが指示を出すときは、親が隣にいてサポートする
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成功したら親子一緒に褒めて「犬・子ども両方に自信」を持たせる
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犬が興奮しているときや疲れているときは無理にやらせない
ご家庭の中で「教える時間を共有する」ことは、犬と子ども両方の社会性を育てる大きな一歩になります。
おすわりを覚えた先に広がる世界
おすわりができるようになると、その先の「まて」「ふせ」「おいで」などのしつけもスムーズになります。
なぜなら、「指示を聞けば良いことがある」という“学習のベース”ができるからです。
また、おすわりは興奮時のクールダウンにも効果的なので、外出時や来客時のトラブル防止にも役立ちます。
単なる“芸”ではなく、愛犬と家族が安心して暮らすための「共通言語」として、おすわりを身につけていきましょう。