「うちの子、散歩中に落ちているものをパクッと…。止めたいのに全然聞いてくれないんです」
このような声をよく耳にします。とくに嗅覚が優れた犬は、外の匂いに敏感で、ついつい好奇心から何でも口に入れてしまうもの。しかし、散歩中の拾い食いは重大な健康被害につながる危険性があるため、放置できない問題です。
この記事では、拾い食いが起きる理由や心理、飼い主がとるべきしつけの方法について、15年以上の実績を持つドッグトレーナーの視点からわかりやすく解説します。
なぜ犬は散歩中に拾い食いをするのか?
犬にとって地面は「宝探し」のフィールド
犬の嗅覚は人間の数万〜数十万倍とも言われ、地面のニオイから食べ物の存在を即座に察知します。特に食べ物に対する執着が強い犬種(ラブラドール、ビーグルなど)や、保護犬・元野犬などは、「あるときに食べておかないともうないかもしれない」という本能が強く働く傾向があります。
拾い食いの背景に「退屈」「ストレス」も
意外に見落とされがちなのが、精神的な刺激不足。日々の散歩が単調であったり、家の中でのコミュニケーションが少ないと、犬は外で“刺激”を求めるようになります。そしてそれが、「とりあえず目についたものを口に入れる」という行動に繋がるのです。
拾い食いが引き起こす深刻なリスク
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誤飲・誤食:タバコの吸い殻、割り箸、ゴミ、腐った食べ物など
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中毒症状:チョコレート、玉ねぎ、キシリトール入りのガム
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感染症の原因:カビ、鳥のフン、他の動物の排泄物など
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緊急手術が必要なケースも
実際に、道に落ちていた焼き鳥の串を丸呑みしてしまい、胃を切開して取り出す手術になった事例もあります。「一度の油断が命取りになる」——それが拾い食いの怖さなのです。
拾い食いを防ぐためにやるべき3つのしつけアプローチ
1. 「リーダーウォーク」をしっかり確立する
拾い食いを防止する第一歩は、犬が自分勝手に歩かない散歩スタイルを作ること。犬が常に前を歩き、好きな場所に顔を突っ込む状態では、拾い食いの制御は不可能に近いです。
正しいリーダーウォークでは、飼い主の横にぴったりついて歩き、アイコンタクトが取れる距離を保ちます。おやつや声かけを使って「飼い主と一緒に歩くこと=楽しい」と覚えさせると、犬は自然と地面への興味よりも飼い主に意識を向けるようになります。
2. 「離せ」「ダメ」「アウト」のコマンドを教える
実際に何かを口に入れてしまったときに使える命令語を、日頃からトレーニングしておくのも大切です。
最初は家の中で、安全なおもちゃやフードを使って「咥えて」「離す」を繰り返しながら、「アウト(離せ)」を覚えさせます。強い声や怒鳴り声ではなく、冷静かつ確実に伝えるのがコツです。
ただし、いきなり道端で「離せ!」と言っても伝わらないので、散歩中に使いたい言葉は、家の中で“成功体験”を積ませてから使いましょう。
3. 「アイコンタクト」を取れる関係を築く
散歩中、何か気になるものを見つけたときに、犬が自発的に飼い主の顔を見るようになれば、それだけで拾い食いの多くは防げます。
このアイコンタクトは、犬との信頼関係のバロメーター。日々の生活の中で「アイコンタクト→褒められる」「アイコンタクト→おやつがもらえる」という体験を繰り返すことで、犬は「困ったときは飼い主を見る」という習慣がついていきます。
おすすめの補助アイテムとその活用法
口輪(マズルガード)
どうしても拾い食いが直らない、あるいは命に関わる状況が考えられる場合は、専用のマズルガード(口輪)を使うのも一つの手段です。今は犬にストレスをかけない設計のソフトタイプも多く、食べ物だけを防いで呼吸や水分補給は問題なくできるものが主流です。
使用時は、無理に装着するのではなく、トレーニングで慣らすことが大切です。「マズルガード=楽しいお散歩の始まり」と教えるようにしましょう。
短めのリード
自由に歩きすぎると、落ちているものに鼻先を近づける機会が増えます。リーダーウォークを意識して、やや短めに持つリードのコントロールが有効です。ピンと張るのではなく、常にテンションを緩めたり張ったりと、犬との“会話”を意識して調整しましょう。
拾い食いを叱るべきか?正しい対応とは
多くの飼い主がやりがちなのが、「ダメでしょ!」とその場で怒鳴ること。しかしこれはかえって逆効果になることも多いです。
犬は、「拾い食いしたことが悪かった」のではなく、「口から取り上げられるのが嫌だ」と学んでしまい、次からは隠れて飲み込もうとする・素早く食べてしまうなど、より厄介な行動へと発展することがあります。
そのため、「叱る」よりも「拾い食いをしなかったことを褒める」しつけの方向性が基本です。
まとめ:散歩中の拾い食いは、日々のしつけと信頼の積み重ねで防げます
拾い食いは、単なる悪いクセではありません。それは犬からの「もっと構ってほしい」「退屈だよ」「不安だよ」という、小さなSOSサインかもしれません。
日々の散歩をただのルーティンにするのではなく、飼い主との関係を深めるコミュニケーションの場として活用することが、拾い食いの防止につながります。
焦らず、繰り返し、楽しく。あなたの愛犬が「拾い食いしなくても大丈夫なんだ」と思えるような毎日を、一緒に育んでいきましょう。
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